河川生態系(島崎彦人)

 自然河川には,流路や砂礫堆,氾濫原などの変化に富んだ地形が発達し,流れる水の質と量にも季節に応じた変化が見られます。このように空間的に不均一で動的な河川環境には,様々な動植物の生息場がモザイク状に発達し,生物多様性保全の観点からも重要な河川生態系が形成されます。

 また,河川の連なりをより広域的な視点でとらえると,河川は,距離を隔てて分布する様々な生態系を結びつける経路あるいは相互作用の場と見なすことができます。

 リモートセンシングは,こうした河川の環境や接続構造を,現地調査と合わせて,より効率的に把握するための手段として期待されています。

 

 複雑に蛇行して流れる河川がつくりだす瀬や淵などの多様な地形は,そこに生息する魚類や底生生物の環境利用と密接な関係があります。この図は,デジタル空中写真から把握できる河川の平面形状と水面の放射輝度に基づいて,淵の存在確率を推定した結果を表しています。